特集 フォトエッセイ 「青い海と白い砂」 −113系のある風景− Page 9
このあたりもすっかり変わった。まだ昔の面影を残しているものの、人々の 住む家が多くなった。昔は見渡す限りの畑だったところにもいつの間にかき れいなマンションが建っている。行商のおばちゃんがいた長閑な駅には今は 通勤のためのサラリーマンがあふれている。ひとつずつ、しかし確実に時は 流れていく。今はまだ頑張っている彼も、いつかは時の流れの中に飲み込ま れていく。 線路脇の石を拾ってみる。おそらくその石はそのあたりに何十年もいるのだ ろう。そこにいながら変わりつつある風景を眺めているのだと思う。そして、 線路の上を走る列車が変わっても、石は変わらずその場にとどまるはずだ。 誰かが意識的に場所を移動しない限りは。 |
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